京都府には観光地として有名なスポットが多いですが、少し離れた場所や訪問者が少ないエリアには、静かに楽しめる穴場的な観光地も存在します。以下に2か所をご紹介します。
1. 鷹峯・光悦寺(京都市北区)

京都府の穴場観光スポット:鷹峯・光悦寺
① 概要
京都市北区鷹峯にある光悦寺は、江戸時代初期の芸術家であり、琳派の創始者の一人である本阿弥光悦が晩年を過ごし、芸術活動を行った場所です。光悦の没後、その菩提を弔うために建てられた寺院であり、光悦の世界観が色濃く残る、静かで趣のある空間が魅力です。観光客で賑わう京都市内において、比較的落ち着いて散策できる穴場スポットと言えるでしょう。
② 歴史的な成り立ち
本阿弥光悦は、刀剣の鑑定・研磨を生業とする家柄に生まれましたが、書、陶芸、漆芸、作庭など多岐にわたる分野で才能を発揮しました。徳川家康からこの鷹峯の地を与えられ、多くの職人や芸術家と共に芸術村を形成し、独自の芸術文化を築き上げました。
光悦の没後、1638年(寛永15年)に光悦の菩提を弔うために建立されたのが光悦寺です。境内には、光悦や一族の墓所、光悦が建てたとされる七つの茶室などが点在し、当時の芸術村の面影を今に伝えています。
③ 良い所
- 静かで落ち着いた雰囲気: 金閣寺や龍安寺といった有名観光地に比べると、訪れる人も比較的少なく、静寂の中でゆっくりと庭園や建物を鑑賞できます。喧騒を離れて、落ち着いた時間を過ごしたい方におすすめです。
- 光悦の世界観を体感できる: 境内には、光悦が趣向を凝らしたとされる庭園や茶室が残っており、その独創的な美意識に触れることができます。自然と調和した、素朴でありながらも洗練された空間は、訪れる人の心を穏やかにします。
- 四季折々の美しい景色: 春の新緑、秋の紅葉など、四季折々の自然が豊かに感じられる庭園は、いつ訪れても異なる表情を見せてくれます。特に紅葉の時期は、ひっそりとした境内に鮮やかな色彩が映え、格別な美しさです。
- 歴史と芸術に触れられる: 琳派の創始者である本阿弥光悦の足跡を辿りながら、日本の芸術文化の一端に触れることができます。芸術に関心のある方にとっては、非常に興味深い場所でしょう。
- 写真撮影にも適した景観: 自然と調和した庭園や、趣のある茶室の佇まいは、写真撮影の被写体としても魅力的です。静かな環境の中で、じっくりとシャッターチャンスを狙えます。
④ 残念な所
- アクセス: 京都市中心部からはやや離れており、バスなどの公共交通機関を利用する場合、乗り換えが必要となる場合があります。自家用車の場合は駐車場が限られているため、注意が必要です。
- 拝観時間: 他の寺院と同様に拝観時間が決まっており、遅い時間には入ることができません。
- 施設規模: 有名な大寺院と比べると、境内はそれほど広くありません。見学に要する時間は比較的短いため、他の周辺の観光スポットと合わせて訪れるのがおすすめです。
- 展示物の少なさ: 美術館のような展示施設はなく、建物や庭園が主な見どころとなります。歴史的な資料などを期待する方には、やや物足りないかもしれません。
- 階段の多さ: 境内は斜面に建てられているため、階段が多く、足腰に不安のある方には少し負担かもしれません。
⑤ 見どころのスポット
- 七つの茶室跡(一部復元・移築): 光悦が建てたとされる「三巴亭」「時雨亭」「大虚庵」「長床庵」「了寂軒」などの茶室跡が点在しています。現在では復元・移築されたものもありますが、当時の光悦の茶の湯に対する美意識を垣間見ることができます。特に「本阿弥庵」は、光悦が晩年を過ごした住居の一部を移築したとされ、必見です。
- 光悦垣: 光悦寺の象徴とも言える、竹と割竹を組み合わせた独特の意匠を持つ垣です。シンプルながらも洗練された美しさは、光悦の独創性を象徴しています。
- 庭園: 自然の地形を生かした庭園は、四季折々の美しい景色を楽しむことができます。苔むした地面や、配置された石灯籠などが、静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
- 本阿弥光悦の墓所: 境内の一角には、本阿弥光悦とその一族の墓所があります。静かに手を合わせ、その功績を偲びましょう。
- 紅葉のトンネル(秋季限定): 秋になると、参道が鮮やかな紅葉のトンネルとなり、訪れる人々を魅了します。ひっそりとした境内に、燃えるような赤や黄色が映える光景は、息をのむ美しさです。
鷹峯・光悦寺は、派手さはないものの、本阿弥光悦の美意識が凝縮された、奥ゆかしい魅力を持つ場所です。京都観光の喧騒から離れて、静かに日本の美を感じたい方には、ぜひ訪れていただきたい穴場スポットです。
2. 大原三千院周辺(京都市左京区大原)

① 概要
京都市の北東部、大原の里に位置する三千院は、深い緑に囲まれた静寂な空間に佇む天台宗の寺院です。その歴史は古く、美しい庭園や貴重な文化財を有しており、都会の喧騒を離れて心静かに過ごしたい方におすすめの穴場観光スポットと言えるでしょう。周辺には、 живописные な自然や素朴な里山の風景が広がり、三千院と合わせて散策するのも魅力です。
② 歴史的な成り立ち
三千院の起源は、奈良時代に遡ります。788年(延暦7年)、最澄(伝教大師)が比叡山延暦寺を開創する際に、その東塔のあった地に建てられた円融房が始まりとされています。その後、幾度かの移転や変遷を経て、鎌倉時代には現在の大原の地に移り、門跡寺院として格式を高めました。皇室や貴族との関係も深く、多くの文化人が訪れ、その歴史と文化を育んできました。特に、江戸時代には多くの堂宇が再建され、現在見られる伽藍の基礎が築かれました。
③ 良い所
- 美しい自然と静寂な空間: 周囲を山々に囲まれ、四季折々の自然が豊かです。特に、新緑や紅葉の時期は息をのむ美しさです。境内は静かで落ち着いた雰囲気で、日々の喧騒を忘れ、心身ともにリフレッシュできます。
- 趣のある庭園: 「聚碧園(しゅうへきえん)」や「有清園(ゆうせいえん)」といった美しい庭園は、手入れが行き届き、それぞれ異なる表情を見せてくれます。特に、苔むした地面に可愛らしいわらべ地蔵が佇む有清園は、訪れる人々を和ませる人気のスポットです。
- 歴史と文化に触れることができる: 本堂である往生極楽院には、重要文化財である阿弥陀三尊像が安置されており、平安時代の仏像の美しさを間近で見ることができます。また、境内には歴史を感じさせる建造物や石灯籠などが点在しています。
- 周辺の散策も楽しめる: 三千院周辺には、寂光院や勝林院といった由緒ある寺院や、呂川のせせらぎ、素朴な里山の風景など、見どころが多くあります。ハイキングや散策を楽しみながら、大原の自然と文化を満喫できます。
- 京都市内からのアクセス: 京都市中心部からバスで比較的アクセスしやすい場所にあります。
④ 残念な所
- アクセス: 京都市中心部からはバスで時間がかかるため、時間に余裕を持って訪れる必要があります。特に、観光シーズンや週末はバスが混雑することがあります。
- 拝観料: 三千院の拝観料は、他の寺院と比較してやや高めに設定されています。
- 周辺の店舗: 観光地ではありますが、土産物店や飲食店はそれほど多くありません。食事やお土産の購入を考えている場合は、事前に調べておくか、ある程度準備していくと良いでしょう。
- 階段や坂道: 境内には階段や坂道があるため、足腰に不安のある方には少し負担かもしれません。
- 冬季の寒さ: 大原は京都市内よりも気温が低くなることが多く、特に冬季は寒さが厳しいです。防寒対策をしっかりとして訪れる必要があります。
⑤ 見どころのスポット
- 往生極楽院(おうじょうごくらくいん): 本堂であり、重要文化財の阿弥陀三尊像が安置されています。堂内の静かで荘厳な雰囲気は、訪れる人々を успокаивает ます。
- 聚碧園(しゅうへきえん): 池泉回遊式の庭園で、春はツツジ、秋は紅葉が美しく映えます。書院から眺める庭園は、まるで一枚の絵画のようです。
- 有清園(ゆうせいえん): 苔むした地面と杉木立が美しい庭園です。愛らしいわらべ地蔵が点在しており、その姿に心が和みます。
- 金色不動堂(こんじきふどうどう): 鮮やかな朱色が印象的なお堂で、秘仏である金色不動明王像が祀られています。
- 呂川(ろがわ): 三千院の境内を流れる清流です。せせらぎの音を聞きながら散策するのも心地よいです。
- 宝泉院(ほうせんいん): 隣接する寺院で、「額縁庭園」と呼ばれる美しい庭園が有名です。柱と柱の間を額縁に見立て、庭の景色を楽しむことができます。
- 勝林院(しょうりんいん): 三千院と同じく、大原を代表する寺院の一つです。声明(仏教音楽)ゆかりの寺としても知られています。
- 寂光院(じゃっこういん): 建礼門院徳子が隠棲した尼寺として知られています。静かで истории 的な雰囲気が漂っています。
これらのスポットを巡りながら、大原の豊かな自然と歴史、そして三千院の静寂な美しさを堪能してみてはいかがでしょうか。
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