広島県には宮島や原爆ドームといった観光名所がありますが、静かに楽しめる穴場も存在します。その中から2か所をご紹介します。
1. 帝釈峡(たいしゃくきょう)(神石高原町・庄原市)

広島県の穴場観光スポットとして、「帝釈峡(たいしゃくきょう)」をご紹介します。雄大な自然が織りなす渓谷美は、訪れる人々を魅了します。
① 概要
帝釈峡は、広島県庄原市東城町から神石高原町にかけて広がる、全長約18キロメートルの峡谷です。石灰岩の侵食によって形成された独特の地形が特徴で、国の名勝および天然記念物に指定されています。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉と四季折々の美しい景観を楽しむことができ、特に秋の紅葉は息をのむほどの美しさです。峡谷内には、雄大な自然だけでなく、人造湖である帝釈峡ダム(神竜湖)や、天然の橋である雄橋(おんばし)など、見どころが豊富にあります。
② 歴史的な成り立ち
帝釈峡は、約3億年前の古生代に海底に堆積した石灰岩層が、長い年月をかけて雨水や川の流れによって侵食されて形成されました。特に、帝釈川の流れが石灰岩を深く削り、奇岩や洞窟、峡谷を作り出したと考えられています。
江戸時代には、その景観の美しさが知られるようになり、一部の文人墨客が訪れるようになりました。明治時代以降になると、観光地としての開発が進められ、1923年(大正12年)には国の名勝に指定されました。
1926年(大正15年)には、帝釈川を堰き止めて造られた帝釈峡ダム(神竜湖)が完成し、湖上遊覧が可能になるなど、観光地としての魅力がさらに高まりました。現在では、自然景観を楽しむだけでなく、ボート遊びやキャンプ、ハイキングなど、多様なアクティビティが楽しめる場所として親しまれています。
③ 良い所
- 雄大な自然美: 石灰岩が織りなす奇岩、断崖、そして清流が織りなす景観は、まさに自然の芸術品です。四季折々の変化も美しく、いつ訪れても感動を与えてくれます。
- 多様な見どころ: 天然の橋である雄橋、神秘的な鍾乳洞である白雲洞、人造湖である神竜湖など、変化に富んだ見どころがあり、飽きさせません。
- アクティビティの豊富さ: 神竜湖での遊覧船、カヌー、サイクリング、ハイキングなど、自然を満喫できる様々なアクティビティが楽しめます。
- 比較的空いている: 有名な観光地に比べると、比較的混雑が少なく、ゆっくりと自然を満喫できます。静かに景色を楽しみたい方には特におすすめです。
- 写真撮影に最適: 独特の地形と美しい自然は、絶好の撮影スポットです。特に、雄橋や紅葉の時期は多くのカメラマンが訪れます。
④ 残念な所
- 公共交通機関でのアクセス: 電車やバスの本数が限られており、公共交通機関でのアクセスはやや不便です。自家用車での訪問が便利です。
- 冬季の閉鎖: 冬季は積雪や路面凍結のため、一部施設や遊歩道が閉鎖される場合があります。事前に確認が必要です。
- 周辺施設の充実度: 軽井沢や箱根のような大規模な観光地に比べると、周辺の飲食店やお土産店などの数は限られます。
- アップダウンのある場所も: 峡谷内には、階段や坂道など、アップダウンのある場所もあります。体力に自信のない方は、事前にルートを確認することをおすすめします。
- 天候に左右される: 雨天時は足元が悪くなるだけでなく、景観も十分に楽しめない可能性があります。
⑤ 見どころのスポット
- 雄橋(おんばし): 帝釈川にかかる、全長約90メートル、幅約18メートル、高さ約40メートルの巨大な天然の橋です。自然の力強さを感じさせる圧巻の景観で、国の天然記念物にも指定されています。橋の上を歩くこともでき、周囲の景色を一望できます。
- 神竜湖(しんりゅうこ): 帝釈川を堰き止めて造られた人造湖です。湖面に映る周囲の山々の景色は美しく、遊覧船に乗って湖上から景色を楽しむのがおすすめです。特に紅葉の時期は、湖面が赤や黄色に染まり、幻想的な風景が広がります。
- 白雲洞(はくうんどう): 神竜湖の湖畔にある鍾乳洞です。全長約200メートルあり、様々な形の鍾乳石や石筍を見ることができます。洞内はひんやりとしており、夏場でも涼しく過ごせます。
- 帝釈峡まちなみ: 帝釈峡の中心部にあるエリアで、食事処やお土産店などが点在しています。散策の休憩に立ち寄ったり、お土産を探したりするのに便利です。
- 紅葉谷: 秋になると、カエデやモミジなどが鮮やかに色づき、美しい紅葉のトンネルを作り出します。ハイキングコースとしても人気があり、紅葉狩りを楽しむことができます。
- 鬼の唐門: 雄橋近くにある奇岩で、その形が鬼の門のように見えることから名付けられました。自然の造形美を感じさせるスポットです。
帝釈峡は、都会の喧騒を離れて、雄大な自然の中でリフレッシュしたい方におすすめの穴場観光スポットです。ぜひ、その美しい景色と豊かな自然を満喫してみてください。
2. 亀居城跡(大竹市)

広島県の穴場観光スポット:亀居城跡
① 概要
亀居城跡(かめいじょうあと)は、広島県大竹市にある小高い丘陵に築かれた山城跡です。別名「高谷城(たかやじょう)」とも呼ばれます。戦国時代にこの地域を支配した国人領主・三次氏の居城であり、その後毛利氏の支配下に入りました。現在では、石垣や土塁などの遺構が残り、整備された公園として市民や観光客に親しまれています。山頂からは三次盆地を一望できる絶景が魅力で、歴史と自然の両方を楽しめる穴場スポットと言えるでしょう。
② 歴史的な成り立ち
亀居城は、南北朝時代にこの地を支配した三次氏によって築かれたとされています。三次氏は、備後北部において一定の勢力を持っていた国人領主であり、亀居城を拠点に周辺地域を支配していました。
戦国時代に入ると、毛利氏が勢力を拡大する中で、三次氏は毛利氏に従属するようになります。亀居城は、毛利氏の支配下においても重要な拠点の一つとして機能しました。
関ヶ原の戦い後、広島藩主となった福島正則の時代に、一国一城令によって廃城となりました。その後、城の建物は取り壊されましたが、石垣や土塁などの一部の遺構が現在まで残っています。
江戸時代以降は、城跡は放置されていましたが、近年になって公園として整備され、市民の憩いの場、そして歴史を偲ぶ場所として活用されています。
③ 良い所
- 三次盆地を一望できる絶景: 標高約380メートルの山頂からは、三次盆地や中国山地の山々を一望できる素晴らしい眺めが広がります。特に夕暮れ時には、幻想的な景色を楽しむことができます。
- 静かで落ち着いた雰囲気: 大規模な観光地のような賑やかさはありませんが、静かで落ち着いた雰囲気の中で、ゆっくりと歴史を感じ、自然を満喫できます。
- 手軽なハイキングを楽しめる: 整備された遊歩道があり、比較的気軽に山頂まで登ることができます。ハイキング初心者や家族連れにもおすすめです。
- 歴史ロマンを感じられる遺構: 石垣や土塁などが残っており、当時の城の様子を偲ぶことができます。歴史好きにはたまらない魅力があります。
- 無料で散策できる: 公園として整備されており、入園料などはかかりません。気軽に訪れることができます。
- 地元の人々に親しまれている: 地域住民の散歩コースや憩いの場となっており、地元の人々の生活に触れることができます。
④ 残念な所
- 城の建物は残っていない: 天守閣や櫓などの建物は、廃城時に取り壊されており、現存していません。当時の様子を具体的にイメージするには、ある程度の想像力が必要です。
- アクセス手段: 公共交通機関でのアクセスはやや不便です。自家用車での訪問が便利ですが、駐車場が限られている場合があります。
- 周辺の観光施設: 亀居城跡単体で見学する場合、周辺に他の大規模な観光施設はあまりありません。他の観光スポットと組み合わせて訪れると良いでしょう。
- 急な階段や坂道: 山頂までの遊歩道には、一部急な階段や坂道があります。足腰に不安のある方は注意が必要です。
- 案内板の充実度: 歴史的な背景や遺構に関する詳しい案内板が、十分とは言えない場合があります。事前に情報を調べておくことをおすすめします。
⑤ 見どころのスポット
- 本丸跡: 城の中心部があった場所で、比較的広い平坦地となっています。ここからの眺めは特に素晴らしく、三次盆地を一望できます。
- 石垣: 比較的良好な状態で残っている石垣は、当時の築城技術を垣間見ることができます。特に本丸周辺の石垣は必見です。
- 土塁: 城を守るために築かれた土の堤で、当時の地形を利用した防御の様子をうかがい知ることができます。
- 二の丸跡、三の丸跡: 本丸を取り囲むように配置されていた曲輪の跡です。それぞれに異なる景色や雰囲気を楽しむことができます。
- 狼煙台跡: かつて敵の侵入などを知らせるために狼煙が上げられた場所とされています。見晴らしの良い場所に位置しています。
- 遊歩道からの眺め: 山頂へ向かう遊歩道の途中からも、三次盆地の美しい景色を বিভিন্ন角度から楽しむことができます。季節ごとに変化する自然の風景も見どころです。
亀居城跡は、派手さはないものの、歴史と自然が調和した魅力的なスポットです。三次市を訪れる際には、ぜひ足を運んで、静かに佇む城跡から往時の風景を想像し、雄大な自然を満喫してみてはいかがでしょうか。
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