愛媛県には道後温泉や松山城など有名な観光地がありますが、比較的混雑せず静かに楽しめる穴場的なスポットも存在します。以下に2か所ご紹介します。
1. 滑床渓谷(なめとこけいこく)(宇和島市、北宇和郡松野町)

愛媛県の穴場観光スポット:滑床渓谷
① 概要
滑床渓谷(なめとこけいこく)は、愛媛県宇和島市と北宇和郡松野町にまたがる、四国カルストに源を発する全長約12kmの美しい渓谷です。花崗岩の岩盤が水流によって滑らかに浸食された独特の景観が特徴で、その名の通り、まるで天然のウォータースライダーのような滑らかな岩肌が広がります。手つかずの自然が豊かに残り、四季折々の美しい景色を楽しむことができる、まさに穴場と呼ぶにふさわしいスポットです。特に夏は、清涼な空気と水しぶきが心地よく、多くの人々が涼を求めて訪れます。
② 歴史的な成り立ち
滑床渓谷は、長い年月をかけて自然が生み出した芸術作品です。その成り立ちには、地質と水流の作用が深く関わっています。
- 地質: 渓谷一帯は花崗岩で形成されています。花崗岩は比較的硬い岩石ですが、長い年月、水流による浸食や風化作用を受けることで、表面が滑らかになっていきました。
- 水流: 四国カルストからの清らかな水が、渓谷を流れ下る過程で、岩盤を削り、独特の曲線美を生み出しました。特に、急流と緩やかな流れが繰り返されることで、多様な地形が形成されました。
- 人との関わり: 古くから地元の人々には知られていましたが、観光地として注目されるようになったのは比較的近年です。豊かな自然が保護され、遊歩道などが整備されることで、多くの人が訪れるようになりました。
③ 良い所
- 独特で美しい景観: 滑らかな岩盤と清流が織りなす景観は、他の渓谷ではなかなか見られない уникальный なものです。特に、太陽光を浴びてキラキラと輝く水面と、緑豊かな木々のコントラストは息をのむ美しさです。
- 清涼な空気と水: 夏でも涼しく過ごせる避暑地として最適です。水に触れたり、水音を聞いたりするだけで、心身ともにリフレッシュできます。
- 手軽なトレッキング: 遊歩道が整備されており、初心者でも気軽に自然散策を楽しめます。体力に合わせて様々なコースを選ぶことができます。
- 写真映えするスポットが多い: 滑らかな岩肌、滝、淵など、どこを切り取っても絵になるような風景が広がっています。
- 自然との一体感: 手つかずの自然が色濃く残っており、都会の喧騒を忘れ、自然の力を感じることができます。
- 四季折々の表情: 春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、一年を通して異なる美しい景色を楽しむことができます。
④ 残念な所
- 公共交通機関でのアクセス: 電車やバスの本数が限られているため、公共交通機関でのアクセスはやや不便です。自家用車での訪問が推奨されます。
- 周辺施設の充実度: 観光地化が進んでいるとは言えず、飲食店やお土産店などの施設は限られています。事前に準備をして訪れると良いでしょう。
- 天候に左右される: 雨天時や雨上がりは、遊歩道が滑りやすくなることがあります。また、増水時には立ち入りが制限される場合があります。
- 虫対策が必要: 自然豊かな場所なので、夏場を中心に虫対策(虫除けスプレーなど)が必要です。
- 冬季の閉鎖: 冬季は積雪や凍結のため、遊歩道が閉鎖される場合があります。事前に確認が必要です。
⑤ 見どころのスポット
- 雪輪の滝: 滑床渓谷の最も奥に位置する、落差80mの名瀑です。滝壺近くまで行くことができ、迫力ある水しぶきを体感できます。その姿が雪の輪のように見えることから名付けられました。
- 千畳敷: 広大な一枚岩の河床が広がる場所です。滑らかな岩肌を水が穏やかに流れ、独特の景観を作り出しています。休憩したり、水に触れたりするのに最適なスポットです。
- 出合滑: 二つの流れが合流する地点にある、滑らかな岩盤が続く場所です。水の流れが作り出す曲線美が印象的です。
- もみじ河原: 秋になると美しい紅葉が楽しめるスポットです。赤や黄色に染まった木々が、渓谷の風景を一層鮮やかに彩ります。
- 遊歩道沿いの自然: 遊歩道を歩きながら、様々な種類の植物や、運が良ければ野生動物に出会うことができます。清流のせせらぎを聞きながらの散策は、心身ともに癒やされます。
滑床渓谷は、都会の喧騒から離れ、静かに自然を満喫したい方におすすめの穴場スポットです。時間に余裕を持って訪れ、その美しい景観と清らかな空気を堪能してみてください。
2. 臥龍山荘(大洲市)

愛媛県の穴場観光スポット:臥龍山荘
① 概要
臥龍山荘(がりゅうさんそう)は、愛媛県大洲市にある美しい別邸庭園です。肱川(ひじかわ)のほとりに佇み、借景を取り入れた回遊式の庭園と、趣の異なる三つの建物(臥龍院、不老庵、知止庵)が調和した、静かで落ち着いた空間です。その洗練された美しさは、訪れる人々を魅了し、喧騒を離れてゆっくりと時間を過ごしたい方におすすめの穴場スポットと言えるでしょう。
② 歴史的な成り立ち
臥龍山荘は、明治から大正にかけて活躍した大洲の豪商、河内寅次郎が私財を投じて築き上げました。約10年の歳月をかけ、京都や瀬戸内などの名園や名建築を参考にしながら、細部にまでこだわり抜いて造られました。
- 臥龍院(がりゅういん): 本邸として建てられた数寄屋風の建物。自然の地形を生かし、開放的な空間と繊細な意匠が特徴です。
- 不老庵(ふろうあん): 肱川に張り出すように建てられたユニークな建物。船底をイメージした屋根や、川面を間近に感じられる開放的な造りが魅力です。
- 知止庵(ちしあん): 庭園の一角にひっそりと佇む茶室風の建物。侘び寂びの世界観を演出し、静かに思索にふけるのに適した空間です。
河内寅次郎の没後、臥龍山荘は荒廃の危機に瀕しましたが、地元住民の熱意ある保存活動によって守り継がれ、現在では一般公開されています。
③ 良い所
- 息をのむほどの景観美: 肱川の流れと周囲の自然を巧みに取り入れた庭園は、四季折々に異なる表情を見せ、訪れるたびに新たな発見があります。特に、不老庵から眺める景色は絶景です。
- 静かで落ち着いた雰囲気: 観光客で賑わうメジャーなスポットと比べると、比較的静かにゆっくりと時間を過ごすことができます。心身ともにリフレッシュしたい方におすすめです。
- 趣の異なる建築美: 臥龍院、不老庵、知止庵と、それぞれ異なる意匠を持つ建物は、日本の伝統的な建築美を堪能させてくれます。細部にまで施された職人の技は、見飽きることがありません。
- 歴史と文化を感じられる: 大洲の豪商が築き上げた別邸であり、当時の文化や生活様式を垣間見ることができます。保存活動を通して現代に受け継がれた歴史の重みを感じられます。
- 写真撮影に最適: 美しい庭園と建物の調和は、どこを切り取っても絵になります。特に、自然光が入る時間帯は、より一層その美しさが際立ちます。
④ 残念な所
- 公共交通機関でのアクセス: 電車やバスの本数が限られているため、公共交通機関を利用する場合は事前にしっかりと調べておく必要があります。レンタカーやタクシーの利用が便利です。
- 階段や坂道が多い: 庭園内は自然の地形を生かしているため、階段や坂道が多く、足腰に不安のある方には少し負担かもしれません。
- 飲食施設の少なさ: 山荘内や周辺には、大規模な飲食施設はあまりありません。事前に食事を済ませてから訪れるか、軽食を持参することをおすすめします。
- 季節による景観の変化: これは良い点でもありますが、訪れる季節によっては期待した花が咲いていなかったり、紅葉が終わっていたりする可能性があります。事前に開花情報などを確認しておくと良いでしょう。
⑤ 見どころのスポット
- 不老庵からの眺め: 肱川の流れと対岸の景色を一望できる絶景ポイントです。特に、夕暮れ時の景色は格別です。
- 臥龍院の襖絵: 繊細で美しい襖絵は、当時の художников の высокое мастерство を сегодня に伝えています。
- 庭園の飛び石と苔: 手入れの行き届いた庭園には、趣のある飛び石や美しい苔が配されており、散策するだけでも心が安らぎます。
- 知止庵の静寂: 侘び寂びの世界観が漂う茶室風の建物で、静かに景色を眺めたり、瞑想したりするのもおすすめです。
- 臥龍院の「霞床(かすみどこ)」: 床の間の意匠が工夫されており、光の入り方によって見え方が変化するユニークな仕掛けです。
臥龍山荘は、喧騒を離れて日本の美意識に浸りたい方にとって、きっと忘れられない場所となるでしょう。時間に余裕を持って、ゆっくりと散策することをおすすめします。
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