徳島県には鳴門の渦潮や祖谷渓など有名な観光地がありますが、比較的混雑しない穴場的なスポットも存在します。以下に2か所をご紹介します。
1. 剣山(つるぎさん)(三好市)

徳島県の穴場観光スポット:剣山
① 概要
剣山(つるぎさん)は、徳島県西部に位置する標高1,955mの西日本第二の高峰です。古くから山岳信仰の対象とされ、山頂付近には修験道の遺跡や剣神社奥宮などが鎮座しています。豊かな自然に恵まれ、四季折々の美しい景色を楽しむことができるだけでなく、貴重な高山植物の宝庫としても知られています。比較的容易に山頂までアクセスできる登山道やリフトが整備されており、初心者から本格的な登山者まで幅広く楽しめる魅力的な山です。
② 歴史的な成り立ち
剣山は、その険しい山容から古くより霊山として崇められてきました。山名の由来には諸説あり、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が東征の際に山頂に剣を納めたという伝説や、山頂付近の地形が剣の形に似ているからなどと言われています。
修験道の隆盛期には、山頂一帯が修行の場として開かれ、多くの行者が訪れました。現在も山頂付近には、剣神社奥宮をはじめとする信仰に関わる史跡が残っています。江戸時代には阿波藩の保護を受け、山林資源が管理されました。
近代に入り、登山ブームが起こると、剣山の自然の美しさや眺望の良さが注目されるようになり、登山道や山小屋が整備されました。1964年には剣山国定公園に指定され、その豊かな自然環境が保護されています。
③ 良い所
- 手軽に登頂できる: 標高は高いものの、山頂近くまでリフトでアクセスできるため、体力に自信のない方や登山初心者でも比較的容易に山頂を踏むことができます。
- 360度の絶景: 山頂からは、四国山地の雄大な山々はもちろん、天候に恵まれれば遠く瀬戸内海や太平洋まで見渡せる360度のパノラマが広がります。特にご来光や夕焼けは息をのむ美しさです。
- 豊かな自然と高山植物: 山頂付近は、シコクザサをはじめとする貴重な高山植物の宝庫です。特に初夏には、様々な高山植物が可憐な花を咲かせ、登山者の目を楽しませてくれます。
- 歴史と信仰の атмосферa: 山頂には剣神社奥宮が鎮座し、古くからの信仰の атмосферaを感じることができます。修験道の遺跡なども残っており、歴史好きにも魅力的なスポットです。
- 整備された登山道: リフトからのルートを含め、複数の登山道が整備されており、体力や経験に合わせてコースを選ぶことができます。
- 四季折々の魅力: 春の新緑、夏の高山植物、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季を通じて異なる美しい自然を楽しむことができます。
④ 残念な所
- 天候に左右される: 山岳地帯のため、天候が変わりやすく、急な雨や濃霧に見舞われることがあります。事前に天気予報をしっかりと確認し、雨具などの対策が必要です。
- リフトの運行時間: リフトの運行期間や時間が季節によって異なるため、事前に確認が必要です。また、悪天候の場合は運休になることがあります。
- 山頂付近の混雑: 特に紅葉シーズンや連休などは、リフト乗り場や山頂付近が混雑することがあります。
- 周辺の観光施設: 剣山周辺には、他の有名な観光地に比べると、宿泊施設や飲食店などの観光施設が限られます。事前に調べて予約しておくことをおすすめします。
- 冬季の登山: 冬季は積雪や凍結のため、本格的な装備と経験が必要です。初心者にはハードルが高いと言えます。
⑤ 見どころのスポット
- 剣神社奥宮: 山頂に鎮座する神社で、古くから山岳信仰の中心地でした。神秘的な атмосферaが漂い、参拝することで心が洗われるような感覚を覚えます。
- 頂上ヒュッテ: 山頂直下にある山小屋で、宿泊や休憩に利用できます。ここからの眺めも素晴らしく、特に夕焼けは格別です。
- 大剣神社: 剣山山頂から少し下った場所にある神社で、こちらも歴史ある神社です。
- リフトからの眺め: 山麓から山頂近くまでを結ぶリフトからは、周囲の山々の雄大な景色を手軽に楽しむことができます。特に紅葉シーズンは見事です。
- 高山植物の群生地: 山頂付近や登山道沿いには、シコクザサをはじめとする貴重な高山植物が自生しています。初夏には様々な花が咲き乱れ、自然の美しさを満喫できます。
- 一ノ森・二ノ森・丸石: 剣山山頂周辺には、それぞれ特徴的な景観を持つピークが連なっています。時間と体力に合わせて足を伸ばしてみるのもおすすめです。特に丸石からの眺めは絶景です。
- 御塔石: 山頂付近にある巨石で、古くから信仰の対象とされてきました。独特の形状は見る者を惹きつけます。
剣山は、その豊かな自然と歴史的な背景、そして手軽に絶景を楽しめる点が魅力の穴場観光スポットです。ぜひ訪れて、その奥深い魅力を体感してみてください。
2. 井戸寺(いどじ)(徳島市)

徳島県の穴場観光スポット:井戸寺
① 概要
井戸寺(いどじ)は、徳島県徳島市国府町にある四国八十八ヶ所霊場の第18番札所です。その名の通り、境内には弘法大師(空海)が掘ったと伝わる霊水「黄金井戸」があり、古くから眼病平癒の霊験あらたかな寺として信仰を集めてきました。派手さはないものの、静かで落ち着いた雰囲気の中で、歴史と霊験を感じられる穴場スポットと言えるでしょう。
② 歴史的な成り立ち
井戸寺の創建は古く、寺伝によれば天平年間(729年~749年)に聖武天皇の勅願により行基菩薩が開創したとされています。その後、弘法大師が四国霊場を開創した際にこの地を訪れ、境内に湧き出る泉が涸れていたのを見て錫杖で地面を突いたところ、たちまち清水が湧き出したと伝えられています。これが「黄金井戸」の由来であり、寺名の由来ともなっています。
江戸時代には阿波藩主蜂須賀家の祈願所となり、寺領の寄進を受けるなど保護されました。現在も、眼病に悩む人々をはじめ、多くの巡礼者や参拝者が訪れています。
③ 良い所
- 霊験あらたかな「黄金井戸」: 弘法大師伝説が残る霊水は、眼病平癒にご利益があるとされ、実際に水を汲んで持ち帰る参拝者も多くいます。
- 静かで落ち着いた雰囲気: 他の著名な札所に比べると比較的参拝客も少なく、静寂の中でゆっくりと参拝することができます。
- 歴史を感じる境内: 本堂や大師堂など、古い建物が残っており、歴史の重みを感じることができます。手入れの行き届いた庭園も心を和ませます。
- 地元の人々との交流: 地域に根ざしたお寺であり、地元の人々の信仰の篤さを感じることができます。温かい雰囲気も魅力の一つです。
- アクセスの良さ: 徳島市内からも比較的アクセスしやすく、公共交通機関や車での訪問も容易です。
④ 残念な所
- 派手な観光要素は少ない: 近代的な観光施設やエンターテイメント性はあまり期待できません。歴史や霊場巡りに興味がない方には物足りないかもしれません。
- 売店や食事処は小規模: お土産店や食事処は境内にありますが、規模は大きくありません。事前に準備をして訪れると良いでしょう。
- バリアフリー設備は限定的: 古いお寺であるため、バリアフリー設備は十分とは言えません。階段や段差が多い場所もあります。
- 知名度はそれほど高くない: 四国八十八ヶ所霊場の中では比較的知られていないため、「穴場」と言えますが、情報が少ないと感じる方もいるかもしれません。
⑤ 見どころのスポット
- 黄金井戸: 何と言っても一番の見どころは、弘法大師が錫杖で突いて湧き出させたと伝わる霊水です。実際に井戸を覗き込み、霊験を感じてみてください。
- 本堂: 江戸時代に再建された本堂は、歴史を感じさせる佇まいです。静かに手を合わせ、ご本尊である薬師如来に祈りを捧げましょう。
- 大師堂: 弘法大師を祀るお堂です。弘法大師像が安置されており、多くの巡礼者が訪れます。
- 鐘楼: 由緒ある鐘楼で、自由に鐘を撞くことができます。境内に響き渡る鐘の音は、心に安らぎを与えてくれます。
- 手水舎: 清らかな水が流れる手水舎も、趣があります。参拝前に心身を清めましょう。
- 境内庭園: 手入れの行き届いた庭園は、四季折々の自然を楽しむことができます。特に、静かに散策するのに適しています。
井戸寺は、華やかさはないものの、深い歴史と霊験、そして静かで落ち着いた雰囲気が魅力の穴場スポットです。喧騒を離れて、心静かに過ごしたい方におすすめです。
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