宮崎県には高千穂峡や青島などの有名観光地がある一方で、比較的静かに楽しめる穴場的なスポットも存在します。以下に2か所をご紹介します。
1. 綾町(あやちょう)森林セラピー基地(東諸県郡綾町)

宮崎県の穴場観光スポット:綾町森林セラピー基地
① 概要
宮崎県東諸県郡綾町は、「照葉樹林都市」として知られる自然豊かな町です。その豊かな森林を活かした「綾町森林セラピー基地」は、科学的なエビデンスに基づいて心身のリラックス効果が実証された森林浴を楽しめる場所として、近年注目を集めています。森林セラピーロードやセラピー体験プログラムなどが整備され、日常の喧騒から離れて心身をリフレッシュしたい方におすすめの穴場スポットです。
② 歴史的な成り立ち
綾町は、古くから豊かな照葉樹林に囲まれた地域であり、その自然環境は町民の生活や文化に深く根ざしていました。近年、森林が持つリラックス効果や健康増進効果が科学的に解明されるにつれて、この豊かな森林資源を地域活性化に活かそうという動きが起こりました。
2006年には、綾町が森林セラピー基地として認定され、森林セラピーロードの整備や、専門のセラピストによるガイド付き体験プログラムなどが開始されました。これは、町の自然環境保全への取り組みと、健康志向の高まりを背景に生まれた、新しい形の観光資源と言えるでしょう。
③ 良い所
- 科学的に証明されたリラックス効果: 森林セラピーは、森林の香りや風景、音などが心身に与えるリラックス効果が科学的に実証されています。綾町の森林セラピー基地では、その効果を最大限に引き出すための環境が整備されています。
- 豊かな自然を満喫できる: 広大な照葉樹林の中を散策することで、森林浴を存分に楽しむことができます。四季折々の自然の美しさや、多様な動植物との出会いも魅力です。
- 心身のリフレッシュに最適: 日常のストレスや疲労から解放され、心身ともにリフレッシュすることができます。森林の中をゆっくりと歩いたり、深呼吸をしたりすることで、心身のバランスが整うのを感じられるでしょう。
- 多様な体験プログラム: ガイド付きの森林セラピー体験プログラムが用意されており、専門のセラピストの案内のもと、より効果的な森林浴を体験できます。ヨガや瞑想、アロマテラピーなど、様々なプログラムが用意されています。
- 静かで落ち着いた環境: 大手観光地のような喧騒はなく、静かで落ち着いた環境の中で、ゆったりとした時間を過ごすことができます。自然の中で自分と向き合いたい方や、静かに過ごしたい方におすすめです。
④ 残念な所
- 公共交通機関でのアクセス: 綾町自体が比較的自然豊かな地域であり、森林セラピー基地への公共交通機関のアクセスは、本数が少ないなど、やや不便な場合があります。自家用車での訪問が推奨されます。
- 天候に左右される: 屋外での活動が中心となるため、雨天時や荒天時は十分に楽しめない可能性があります。事前に天気予報を確認し、雨具などの準備が必要です。
- 虫対策が必要な場合がある: 自然の中を散策するため、季節によっては虫刺され対策が必要です。虫除けスプレーや長袖の着用など、適切な対策を行いましょう。
- 設備が限られる場所もある: 自然環境を重視しているため、遊歩道によっては舗装されていなかったり、休憩施設が限られていたりする場合があります。歩きやすい靴や飲み物などの準備が必要です。
⑤ 見どころのスポット
- 照葉樹林セラピーロード: 綾町内に複数整備されているセラピーロードは、それぞれ異なる自然の表情を楽しむことができます。自分の体力や目的に合わせてコースを選び、森林浴を満喫しましょう。
- 綾の照葉大吊橋: 森林セラピー基地からほど近い場所にあるこの吊り橋は、高さ142メートル、長さ250メートルを誇り、足元に広がる照葉樹林の壮大な景色を一望できます。スリルと絶景を同時に楽しめる人気スポットです。
- 綾ふれあい牧場: 森林セラピーと合わせて訪れたいのが、広大な牧草地でのんびりと過ごすことができるこの牧場です。動物との触れ合いや、自家製ソフトクリームなどが楽しめます。
- 綾城跡: 歴史好きの方には、中世の山城跡である綾城跡もおすすめです。自然の中に残る石垣などから、当時の面影を感じることができます。
- 農業体験施設: 綾町は 農業(有機農業)が盛んな町でもあります。事前に予約すれば、農作業体験を通して自然と触れ合うこともできます。
綾町森林セラピー基地は、豊かな自然の中で心身を癒したい方にとって、まさに隠れた楽園のような場所です。日常の疲れをリフレッシュしに、ぜひ一度足を運んでみてください。
2. 幸島(こうじま)(串間市)

宮崎県の穴場観光スポット「幸島」
① 概要
幸島は、宮崎県串間市(くしまし)の南東端に位置する、周囲約4kmの小さな島です。島全体が亜熱帯性の自然に覆われており、国の天然記念物に指定されている野生のニホンザルが生息することで知られています。特に、海で貝を洗って食べる「イモ洗い」と呼ばれる独特の行動は、世界的に注目されています。手つかずの自然が残り、静かで落ち着いた雰囲気の中で、珍しい野生動物の生態を観察できる、自然愛好家や動物好きにはたまらない穴場スポットです。
② 歴史的な成り立ち
幸島は古くから漁業の拠点として利用されてきました。島名の由来は定かではありませんが、豊かな自然が「幸」をもたらす島と考えられていたのかもしれません。
野生のニホンザルが注目されるようになったのは、1950年代に京都大学の伊谷原一博士らによって、サルたちが海で砂のついたサツマイモを洗って食べる行動が初めて観察されてからです。この「イモ洗い」は、一匹の若いメスザルが始めた行動が群れ全体に広まったと考えられており、文化人類学や霊長類学の研究において非常に重要な発見となりました。
1956年には、「幸島猿」として国の天然記念物に指定され、その生態が保護されています。観光地としての開発は控えられており、自然と研究が優先される静かな島です。
③ 良い所
- 野生のサルを間近に観察できる: 何と言っても、野生のニホンザルが目の前で生活している様子を観察できるのが最大の魅力です。特に、世界的にも珍しい「イモ洗い」の行動を見られる可能性もあります。
- 豊かな自然: 島全体が亜熱帯性の植物に覆われており、手つかずの自然が残っています。海岸線も美しく、散策するだけでも心が癒されます。
- 静かで落ち着いた雰囲気: 観光地化が進んでいないため、喧騒とは無縁の静かな時間を過ごせます。自然の中でゆっくりと過ごしたい方には最適です。
- 学術的な価値が高い: サルの社会行動や文化伝播の研究において重要な場所であり、自然科学に興味のある方にとっては非常に興味深いスポットです。
- フェリーでのアクセスも楽しめる: 本土からフェリーで約10分とアクセスも比較的容易であり、船旅自体も楽しめます。
④ 残念な所
- サルとの距離感: 野生動物保護のため、サルに近づきすぎたり、触ったり、餌を与えたりすることは禁止されています。期待していたほど間近で触れ合えるわけではありません。
- 天候に左右される: フェリーの運航は天候に左右されるため、悪天候の場合は島へ渡れない可能性があります。事前に確認が必要です。
- 観光施設が少ない: 島内には宿泊施設や飲食店などの観光施設はほとんどありません。日帰りでの訪問が基本となります。
- サルが見られない可能性も: 野生のサルなので、必ずしも観察できるとは限りません。特に、時間帯や季節によっては姿を見せないこともあります。
- 足場が悪い場所もある: 島内は自然のままの場所が多く、遊歩道なども整備されていない箇所があるため、足元に注意が必要です。
⑤ 見どころのスポット
- サル寄せ場: 島の中央部にあるサル寄せ場では、研究者による観察や調査のために、定期的にサツマイモなどが与えられます。比較的高い確率でサルたちが集まる様子を見ることができます。ただし、観光客が個人的に餌を与えることは禁止されています。
- 海岸線: 島を取り囲む海岸線は、変化に富んだ地形と美しい海が広がっています。散策しながら、自然の造形美を楽しむことができます。干潮時には、貝殻を探したり、磯の生き物を観察したりするのも面白いでしょう。
- 展望台(のような場所があれば): 島内に整備された展望台があれば、島全体や周辺の海を見渡すことができます。もし整備されていなくても、高台など見晴らしの良い場所からは、絶景を望める可能性があります。
- 照葉樹林: 島内には豊かな照葉樹林が広がっており、独特の生態系を観察できます。散策路を歩きながら、亜熱帯の植物や昆虫などを観察するのも良いでしょう。
- フェリーからの眺め: 本土から幸島へ向かうフェリーからは、幸島の全景や周辺の海、海岸線を眺めることができます。特に、島に近づくにつれて見えるサルの生息する森の様子は印象的です。
幸島は、手つかずの自然の中で、珍しい野生のサルの生態を観察できる貴重な場所です。観光地としての華やかさはありませんが、自然や動物が好きで、静かに過ごしたい方にとっては、忘れられない体験となるでしょう。訪れる際は、野生動物保護のルールを守り、自然の恵みを大切にしてください。
【JTB】国内旅行(宿泊+ツアー)予約サイト