栃木県の豊かな自然と歴史に育まれた、代表的な郷土料理を3つご紹介します。
1. しもつかれ

文化的・歴史的な背景
しもつかれは、栃木県全域で古くから伝わる郷土料理で、主に初午の日に稲荷神社に供えられ、無病息災を願って食べられる料理です。その起源は平安時代にまで遡るとも言われ、各家庭の味がある、まさに「おふくろの味」です。
大根、人参、油揚げ、鮭の頭、大豆などを酒粕で煮込んだもので、独特の風味と栄養価の高さが特徴です。
レシピ
- 鮭の頭は、熱湯をかけて臭みを取り、骨ごと細かく切ります。
- 大根、人参は鬼おろしでおろします。
- 油揚げは短冊切り、大豆は水煮を使います。
- 鍋に油をひき、鮭の頭を炒め、大根、人参、油揚げ、大豆を加えて炒め合わせます。
- だし汁、酒粕、醤油、みりん、砂糖を加えて煮込みます。
- 味が染み込んだら完成です。
一般の人が作る場合のコツ
- 鮭の頭は、臭みを取るために丁寧に下処理をしましょう。
- 鬼おろしがない場合は、大根、人参を粗めにおろすと良いでしょう。
- 酒粕の量はお好みで調整してください。
- 具材は、きのこやこんにゃくなどを加えても美味しくいただけます。
地元での食べ方
しもつかれは、初午の日に稲荷神社に供えられた後、各家庭で食べられます。また、普段の食卓にも並ぶことがあり、地域によっては学校給食にも登場します。
おすすめの店
- 「ふる里料理 俵HANGO」:地元の食材を使った、家庭的な味わいのしもつかれが楽しめます。
- 「道の駅きつれがわ」:レストランで、しもつかれ定食が味わえます。
- 「日光ぷりん亭」:しもつかれを使った、変わり種プリンが人気です。
食レポ
しもつかれは、見た目は素朴ですが、滋味深い味わいが特徴です。鮭の頭から出る出汁と、野菜の甘み、酒粕の風味が絶妙に調和し、奥深い味わいを生み出しています。ご飯のお供にはもちろん、お酒の肴にもぴったりです。
2. 耳うどん

文化的・歴史的な背景
耳うどんは、佐野市の一部地域に伝わる郷土料理で、その名の通り、耳の形をしたうどんを醤油ベースの汁で煮込んだものです。江戸時代、足尾鉱山の鉱夫たちが、鉱山の神様に奉納したのが始まりと言われています。
「家の悪口に耳を貸さない」「悪いことを聞かない」などの意味が込められており、正月に食べると一年間無事に過ごせると言われています。
レシピ
- 小麦粉に塩水を加え、よくこねて耳の形に成形します。
- だし汁を鍋に入れ、醤油、みりん、酒で味を調えます。
- きのこ、野菜、鶏肉など、お好みの具材を加えます。
- 耳うどんを加え、煮込みます。
- うどんが柔らかくなったら完成です。
一般の人が作る場合のコツ
- 耳うどんは、手作りするのが難しい場合は、市販のうどんを使っても良いでしょう。
- 具材は、季節の野菜やきのこを使うと美味しくいただけます。
- 汁は、お好みの味に調整してください。
地元での食べ方
耳うどんは、主に正月に食べられますが、普段の食卓にも並ぶことがあります。佐野市内の飲食店では、一年を通して耳うどんを提供している店もあります。
おすすめの店
- 「野村屋本店」:創業明治40年の老舗。伝統の味が楽しめます。
- 「耳うどん本舗」:様々な種類の耳うどんが味わえます。
- 「佐野らーめん万里」:耳うどんを使った創作料理が楽しめます。
食レポ
耳うどんは、つるつるとした食感と、優しい味わいが特徴です。醤油ベースの汁が、うどんによく絡み、食欲をそそります。具材の旨味も溶け出し、体も温まります。
3. 鮎の塩焼き

文化的・歴史的な背景
栃木県は、鮎の漁獲量が多く、特に那珂川の鮎は、古くからその味が評価されてきました。鮎の塩焼きは、新鮮な鮎をシンプルに塩焼きにしたもので、素材の味を最大限に活かした料理です。
レシピ
- 鮎は、内臓とぬめりを取り、串に刺します。
- 全体に塩を振り、強火の遠火でじっくりと焼きます。
- 焼き加減を見ながら、裏表を返して焼き上げます。
- 焼き上がったら、蓼酢などを添えていただきます。
一般の人が作る場合のコツ
- 鮎は、新鮮なものを使うと、より美味しく仕上がります。
- 塩は、焼きながら何度かに分けて振ると、均一に味がつきます。
- 焼きすぎると身がパサつくので、焼き加減に注意しましょう。
- 炭火で焼くと、香ばしく仕上がります。
地元での食べ方
鮎の塩焼きは、主に夏から秋にかけて、那珂川沿いの飲食店や旅館などで提供されます。また、家庭でも、庭先などで炭火焼きにして楽しまれます。
おすすめの店
- 「梁料理 簗」:那珂川の鮎を使った、本格的な鮎料理が味わえます。
- 「鮎の里」:鮎の塩焼きはもちろん、鮎飯や鮎雑炊なども楽しめます。
- 「那珂川町観光センター」:鮎の塩焼き体験ができます。
食レポ
鮎の塩焼きは、鮎本来の旨味と、香ばしい風味が楽しめる、贅沢な一品です。身はふっくらとしていて、皮はパリパリ。蓼酢をつけると、さっぱりとした味わいになります。
これらの郷土料理は、栃木県の豊かな自然と歴史、そして人々の知恵と工夫によって育まれてきました。ぜひ、栃木県を訪れた際には、これらの郷土料理を味わってみてください。