東京都の郷土料理

各地の郷土料理

東京都の代表的な郷土料理を3つご紹介します。意外に思われるかもしれませんが、東京都にも歴史と風土に根ざした独自の食文化があります。それぞれの料理について、文化的・歴史的な背景、レシピ、一般の人が作る場合のコツ、地元での食べ方、おすすめの店、食レポ的な説明をまとめました。

1. 深川めし

文化的・歴史的な背景

深川めしは、東京都江東区の深川地域で生まれた郷土料理で、アサリなどの貝類を使った炊き込みご飯、またはぶっかけ飯です。江戸時代、深川は漁師町として栄え、特にアサリが豊富に獲れました。漁師たちが仕事の合間に手軽に食べられるように考案されたのが始まりと言われています。

深川めしには大きく分けて2つのタイプがあります。一つは、アサリのむき身を醤油や味噌で煮て、その煮汁とアサリをご飯と一緒に炊き込んだ「炊き込みご飯」タイプ。もう一つは、アサリのむき身をネギなどと一緒に煮て、炊き立てのご飯の上から汁ごと豪快にかけた「ぶっかけ飯」タイプです。どちらもアサリの豊かな風味が特徴です。

レシピ(ぶっかけ飯タイプ)

  1. アサリ(殻付き)500gは砂抜きをしてよく洗います。
  2. 長ネギ1本は斜め切りにします。
  3. だし汁(昆布とかつお節)400mlを鍋に入れ、沸騰したらアサリを加えます。
  4. アサリの口が開いたら、長ネギ、醤油大さじ3、みりん大さじ2、酒大さじ1を加え、5分ほど煮ます。
  5. 炊き立てのご飯に、煮汁ごとアサリをたっぷりとかけて、刻みネギや三つ葉を添えていただきます。

一般の人が作る場合のコツ

  • アサリは丁寧に砂抜きをしましょう。砂が残っていると風味が損なわれます。
  • アサリの代わりに、バカ貝やハマグリなど他の貝類を使っても美味しくできます。
  • 煮汁の味付けは、お好みで醤油やみりんの量を調整してください。
  • 仕上げに、刻んだ生姜を少し加えると、風味が引き締まります。

地元での食べ方

深川地域では、昔ながらの食堂や料亭などで提供されています。地元の人にとっては日常的な食事であり、観光客にも人気の料理です。特に、深川不動尊の周辺には深川めしを提供する店が多く集まっています。

おすすめの店

  • 「深川宿」:昔ながらの雰囲気で、炊き込みご飯タイプとぶっかけ飯タイプの両方が楽しめます。
  • 「古都」:創業から変わらない伝統の味を守り続ける老舗です。
  • 「深川釜匠」:釜飯で提供される深川めしが人気です。

食レポ

深川めしは、一口食べるとアサリの豊かな磯の香りが口いっぱいに広がる、滋味深い味わいの郷土料理です。ぶっかけ飯タイプは、アサリの出汁が染み込んだ熱々のご飯が食欲をそそり、つるつるとしたアサリの食感とネギの風味が絶妙なハーモニーを生み出します。炊き込みご飯タイプは、お米一粒一粒にアサリの旨味が凝縮されており、噛むほどに深い味わいが楽しめます。どちらのタイプも、シンプルながらも奥深い、深川の海の恵みを感じられる一品です。

2. 柳川鍋

文化的・歴史的な背景

柳川鍋は、東京都台東区浅草の柳川という場所にあった料理店が発祥とされる郷土料理で、ドジョウを使った鍋料理です。江戸時代後期から明治時代にかけて、浅草の柳川周辺には多くのドジョウ料理店があり、柳川鍋は庶民に親しまれていました。

柳川鍋は、筒切りにしたドジョウを、ごぼうと一緒に甘辛い醤油味の出汁で煮込み、最後に溶き卵でとじたものです。ドジョウは、独特の風味と滋養強壮の効果があると言われており、江戸の人々のスタミナ源として重宝されていました。

レシピ

  1. ドジョウ(開き)200gは食べやすい大きさに切ります。
  2. ごぼう1/2本はささがきにし、水にさらしてアクを抜きます。
  3. だし汁(昆布)300mlを土鍋に入れ、沸騰したらごぼうを加えます。
  4. ごぼうが少し柔らかくなったら、ドジョウ、醤油大さじ3、みりん大さじ2、酒大さじ1、砂糖大さじ1/2を加えます。
  5. ドジョウに火が通ったら、溶き卵2個分を回し入れ、半熟状になったら火を止めます。
  6. 刻みネギや粉山椒を添えていただきます。

一般の人が作る場合のコツ

  • ドジョウは、泥臭さを取るために、酒にしばらく浸けておくと良いでしょう。
  • ごぼうは、丁寧にアク抜きをすることで、風味が良くなります。
  • 煮汁の味付けは、お好みで調整してください。
  • 卵は、煮すぎると固くなるので、半熟状で火を止めるのがポイントです。
  • ドジョウの代わりに、鶏肉や豚肉を使っても美味しくできます。

地元での食べ方

浅草周辺の老舗のドジョウ料理店で提供されています。寒い時期には特に人気があり、熱々の柳川鍋を囲んで体を温めるのが定番です。

おすすめの店

  • 「駒形どぜう」:創業200年以上の老舗。伝統の味を守り続けています。
  • 「浅草どぜう」:こちらも老舗の一つ。様々なドジョウ料理が楽しめます。
  • 「飯田屋」:創業100年以上の老舗。柳川鍋の他に、ドジョウを使ったかぶと焼きも人気です。

食レポ

柳川鍋は、ドジョウの独特の風味が食欲をそそる、滋味深い味わいの鍋料理です。甘辛い出汁がごぼうの風味とよく合い、溶き卵が全体をまろやかにまとめ上げています。ドジョウは、見た目は少し抵抗があるかもしれませんが、食べてみると意外にあっさりとしていて、滋養強壮の効果も期待できます。熱々の鍋をフーフー言いながらいただくのは、冬の浅草の風物詩とも言えるでしょう。

3. もんじゃ焼き

文化的・歴史的な背景

もんじゃ焼きは、東京都中央区月島発祥の鉄板焼き料理で、小麦粉を水で溶いた生地に、キャベツ、ネギ、肉、魚介類など様々な具材を混ぜて、鉄板で焼きながら食べるのが特徴です。江戸時代末期から明治時代にかけて、子供たちのおやつとして生まれた「文字焼き」がルーツと言われています。鉄板に生地を薄く伸ばして焼き、ヘラで文字を書いて遊んだことからこの名前がつきました。

もんじゃ焼きは、お好み焼きのように生地を混ぜて焼くのではなく、土手のように生地を囲んで、中心で具材を炒め、少しずつ生地を崩しながら混ぜて焼いていきます。焼き上がったもんじゃ焼きは、焦げ付いた部分が香ばしく、独特の食感が楽しめます。

レシピ

  1. 薄力粉100gに水400ml、だし汁(昆布)100ml、ソース大さじ3、醤油大さじ1を混ぜて生地を作ります。
  2. キャベツ1/4個は粗みじん切り、長ネギ1/2本は小口切りにします。
  3. 豚バラ肉100gは細かく切ります。
  4. お好みの具材(エビ、イカ、明太子、チーズなど)を用意します。
  5. 熱した鉄板に油をひき、豚バラ肉、キャベツ、ネギ、お好みの具材を炒めます。
  6. 具材が炒まったら、ドーナツ状に土手を作り、中央に生地を少しずつ流し込みます。
  7. 生地が固まってきたら、具材と混ぜながらヘラで細かく刻んで焼きます。
  8. 焦げ付いた部分も美味しくいただけます。

一般の人が作る場合のコツ

  • 生地は、混ぜすぎるとグルテンが出て硬くなるので、さっくりと混ぜるのがポイントです。
  • 具材は、細かく切っておくと、火が通りやすくなります。
  • 土手を作ることで、生地が流れ出るのを防ぎ、中心で具材をじっくり炒めることができます。
  • 焦げ付いた部分は、ヘラでこそげ取るようにして食べると、香ばしくて美味しいです。
  • 様々な具材を試して、自分好みの味を見つけるのも楽しいです。

地元での食べ方

月島には、多くのもんじゃ焼き店が集まっており、「もんじゃストリート」と呼ばれる商店街があります。地元の人たちはもちろん、観光客にも人気のスポットです。もんじゃ焼きは、グループで鉄板を囲んで、わいわいと楽しむのが醍醐味です。

おすすめの店

  • 「もんじゃ麦」:様々な種類の創作もんじゃ焼きが楽しめます。
  • 「ひょうたん」:昔ながらの雰囲気で、定番のもんじゃ焼きが味わえます。
  • 「もんじゃ蔵」:豊富な種類のトッピングが魅力です。

食レポ

もんじゃ焼きは、お好み焼きとは全く異なる、独特の食感が楽しめる鉄板焼き料理です。シャキシャキとしたキャベツの食感、豚肉や魚介類の旨味、そして焦げ付いた生地の香ばしさが絶妙に絡み合い、後を引く美味しさです。ヘラで少しずつこそげ取りながら食べるスタイルも、もんじゃ焼きならではの楽しみ方です。色々な具材を試して、自分だけのオリジナルもんじゃ焼きを作るのもおすすめです。

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