静岡県の郷土料理

各地の郷土料理

静岡県の代表的な郷土料理を3つご紹介します。温暖な気候と豊かな自然に育まれた、バラエティ豊かな静岡の味を、文化的・歴史的な背景、レシピ、一般の人が作る場合のコツ、地元での食べ方、おすすめの店、食レポ的な説明と共にご紹介します。

1. 浜松餃子

文化的・歴史的な背景

浜松餃子は、静岡県浜松市を中心に親しまれているご当地餃子です。一般的な餃子と異なり、餡にキャベツが多く、豚肉は比較的少なめであっさりしているのが特徴です。また、茹でたもやしが添えられるのも浜松餃子ならではのスタイルです。

そのルーツは、第二次世界大戦後、満州からの引揚者が浜松で始めた餃子店が発祥と言われています。満州では、水餃子が一般的でしたが、浜松の風土に合わせて焼き餃子として広まりました。キャベツを多く使うのは、当時、浜松周辺でキャベツの栽培が盛んだったためと考えられています。

レシピ(一般的な家庭用)

  1. 餡の準備:
    • キャベツ:300g(みじん切りにして塩もみし、水気をよく絞る)
    • 豚ひき肉:150g
    • ニラ:1/2束(みじん切り)
    • 玉ねぎ:1/4個(みじん切り)
    • 生姜:ひとかけ(すりおろし)
    • ニンニク:ひとかけ(すりおろし)
    • 醤油:大さじ1
    • 酒:大さじ1
    • ごま油:大さじ1
    • 塩、胡椒:少々
    • 片栗粉:大さじ1 これらをボウルに入れ、粘りが出るまでよく混ぜ合わせます。
  2. 皮で包む:
    • 餃子の皮:30枚程度 餡を皮の中央に乗せ、ひだをつけながら包みます。
  3. 焼く:
    • フライパンにサラダ油をひき、餃子を並べます。
    • 中火で焼き色がつくまで焼き、熱湯(餃子の高さの1/3程度)を注ぎ、蓋をして蒸し焼きにします。
    • 水分がなくなったら、仕上げにごま油を少量回し入れ、焼き色をつけます。
  4. 盛り付け:
    • 皿に餃子を盛り付け、茹でたもやしを添えます。

一般の人が作る場合のコツ

  • キャベツはしっかりと水気を絞ることで、水っぽくならず、シャキシャキとした食感が楽しめます。
  • 餡を混ぜる際は、粘りが出るまでしっかりと混ぜることで、まとまりやすくなります。
  • 焼き加減が重要です。焦げ付かないように注意しながら、焼き色と蒸し焼きのバランスを見ましょう。
  • 最後に少量のごま油を回し入れることで、風味が格段にアップします。

地元での食べ方

浜松では、餃子専門店はもちろん、ラーメン店や定食屋など、様々な場所で浜松餃子を食べることができます。ビールのお供として楽しまれることが多く、あっさりとした味わいは何個でも食べられると評判です。茹でたもやしは、餃子の箸休めとして、または一緒に食べることでさっぱり感を増します。

おすすめの店

  • 「むつぎく」:浜松餃子の名店として知られ、行列ができることも珍しくありません。
  • 「福みつ」:地元で長年愛される老舗の餃子専門店です。
  • 「石松餃子」:あっさりとした中にも旨味がある餃子が人気です。

食レポ

浜松餃子は、一口食べるとキャベツの甘みとシャキシャキとした食感が広がり、豚肉の旨味がそれを優しく包み込みます。一般的な餃子よりもあっさりしているので、何個でも食べられそうです。添えられた茹でもやしは、口の中をさっぱりとさせてくれる名脇役。ビールとの相性も抜群で、ついつい飲みすぎちゃいそうです。

2. 富士宮やきそば

文化的・歴史的な背景

富士宮やきそばは、静岡県富士宮市を中心に親しまれているご当地焼きそばです。最大の特徴は、富士宮やきそば特有の「蒸し麺」を使うこと。これは、一般的な茹で麺とは異なり、蒸してから油でコーティングされているため、独特のコシと風味が生まれます。また、「肉かす」と呼ばれる豚の背脂を揚げたものを使うこと、仕上げにイワシの削り粉(だし粉)をかけるのも富士宮やきそばの重要な要素です。

戦後、富士宮市内の製麺業者が考案したと言われています。当時、富士宮周辺では養豚が盛んであり、その副産物である豚の背脂を有効活用しようとしたのが「肉かす」の始まりと考えられています。また、麺のコシを出すために蒸し麺が採用されたと言われています。

レシピ(一般的な家庭用)

  1. 材料:
    • 富士宮やきそば蒸し麺:2玉
    • 豚バラ肉:100g(細切り)
    • キャベツ:1/4個(ざく切り)
    • 玉ねぎ:1/4個(薄切り)
    • 肉かす:大さじ2〜3
    • サラダ油:適量
    • ウスターソース:大さじ3〜4(お好みで調整)
    • イワシの削り粉(だし粉):適量
    • 青のり:適量
    • 紅生姜:適量(お好みで)
  2. 作り方:
    • フライパンに油をひき、豚バラ肉を炒めます。
    • 肉の色が変わったら、キャベツと玉ねぎを加えて炒めます。
    • 野菜がしんなりしたら、麺を加えてほぐしながら炒めます。
    • 肉かすを加えて混ぜ合わせます。
    • ウスターソースを加えて全体に絡めます。
    • 皿に盛り付け、イワシの削り粉、青のり、紅生姜をかけます。

一般の人が作る場合のコツ

  • 富士宮やきそば特有の蒸し麺は、普通の焼きそば麺とは食感が全く異なります。入手が難しい場合は、少し硬めに茹でた麺を油で炒めて代用することもできますが、風味は劣ります。
  • 「肉かす」は、豚の背脂をじっくりと揚げて作りますが、スーパーなどで入手できる場合もあります。なければ、豚バラ肉をカリカリに炒めて代用することもできます。
  • ウスターソースは、富士宮やきそば専用のソースも販売されています。お好みで使い分けてみてください。
  • 仕上げのイワシの削り粉は、風味の決め手です。忘れずにかけましょう。

地元での食べ方

富士宮市内には、多くの富士宮やきそば専門店があり、それぞれ独自のこだわりを持った焼きそばを提供しています。お祭りやイベントなどでも定番の屋台料理として親しまれています。地元では、熱々の焼きそばにイワシの削り粉をたっぷりとかけて食べるのが一般的です。

おすすめの店

  • 「ゆぐち」:富士宮やきそば学会認定のアンテナショップで、様々な店の焼きそばを食べ比べできます。
  • 「すぎ本」:地元で長年愛される老舗のやきそば店です。
  • 「叶屋」:肉かすの旨味が際立つ焼きそばが人気です。

食レポ

富士宮やきそばは、一口食べると蒸し麺の独特のコシと風味が口の中に広がり、ウスターソースの香ばしさが食欲をそそります。カリカリの肉かすが、香ばしさとコクをプラス。そして、何と言ってもイワシの削り粉の風味が、他にはない独特の旨味を生み出しています。これはまさに、富士宮でしか味わえないソウルフードです。

3. 桜えびのかき揚げ

文化的・歴史的な背景

桜えびは、駿河湾特産の体長3〜4cmほどの小さなエビです。その美しい桜色の姿からその名が付けられました。静岡県では、この貴重な桜えびを使った様々な料理が親しまれていますが、中でもかき揚げは、桜えびの風味と香ばしさを手軽に楽しめる人気の料理です。

桜えび漁は、江戸時代から駿河湾で行われていた記録があり、地元の人々にとって貴重な海の恵みでした。かき揚げとして食べられるようになったのは、比較的近年のことと考えられますが、その美味しさから瞬く間に静岡を代表する味覚の一つとなりました。

レシピ(一般的な家庭用)

  1. 材料:
    • 桜えび(生または乾燥):50g
    • 玉ねぎ:1/4個(薄切り)
    • 三つ葉:1/4束(3cm長さに切る)
    • 天ぷら粉:大さじ3
    • 冷水:大さじ2〜2.5
    • 揚げ油:適量
    • 塩:少々(お好みで)
  2. 作り方:
    • ボウルに天ぷら粉を入れ、冷水を少しずつ加えながら混ぜ合わせます。混ぜすぎないのがコツです。
    • 桜えび、玉ねぎ、三つ葉を加え、衣が全体に絡むように軽く混ぜ合わせます。
    • 揚げ油を170℃に熱します。
    • スプーンなどでタネを適量ずつすくい、油の中に落とし入れます。
    • カラッと揚がったら油を切って取り出します。
    • お好みで塩を振っていただきます。

一般の人が作る場合のコツ

  • 衣を作る際は、冷水を使うことと、混ぜすぎないことが重要です。混ぜすぎるとグルテンが出て、サクサクとした食感になりません。
  • 桜えびは、生でも乾燥でも美味しく作れます。乾燥桜えびを使う場合は、水で軽く戻してから使うと風味がより引き立ちます。
  • 揚げる際は、油の温度を一定に保ち、一度にたくさん入れすぎないようにしましょう。
  • 玉ねぎは薄切りにすることで、火が通りやすくなります。

地元での食べ方

桜えびのかき揚げは、静岡県内の蕎麦屋や天ぷら店などで定番メニューとして提供されています。また、道の駅や観光施設などでも手軽に食べることができます。地元では、蕎麦やうどんのトッピングとして、また天つゆにつけて食べるのが一般的です。

おすすめの店

食レポ

桜えびのかき揚げは、一口食べると口の中に広がる桜えびの香ばしい風味がたまりません。サクサクとした衣と、桜えびのプリッとした食感、そして玉ねぎの甘みが絶妙なハーモニーを生み出しています。磯の香りがほんのりとして、まさに駿河湾の恵みを凝縮した一品です。蕎麦と一緒に食べると、その風味がさらに引き立ちます。

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