大分県の代表的な郷土料理を3つご紹介します。それぞれの郷土料理について、文化的・歴史的な背景、レシピ、一般の人が作る場合のコツ、地元での食べ方、おすすめの店、食レポ的な説明をまとめました。
1. とり天

文化的・歴史的な背景
とり天は、大分県を代表する郷土料理の一つで、鶏肉に衣をつけて揚げたものです。発祥には諸説ありますが、昭和初期に、大正15年(1926年)創業の老舗中華料理店「レストラン東洋軒」初代の宮本四朗氏が中華料理の「炸鶏片(鶏肉の天ぷら)」を和風にアレンジして考案したとされています。当時、鶏肉は比較的安価に入手できたため、洋食の天ぷらをヒントに、鶏肉を使った新しい料理として考案されました。手軽さと美味しさから、県民に広く親しまれ、今では大分県を代表するソウルフードとなっています。
レシピ
- 鶏もも肉またはむね肉を一口大に切ります。
- ボウルに、小麦粉、片栗粉、卵、冷水、塩、こしょうを混ぜて衣を作ります。
- 鶏肉に衣をつけます。
- 揚げ油を170℃に熱し、鶏肉がきつね色になるまで揚げます。
- お好みで、かぼすやすだちを絞り、ポン酢や辛子醤油につけていただきます。
一般の人が作る場合のコツ
- 衣は、混ぜすぎるとグルテンが出て硬くなるので、さっくりと混ぜるのがコツです。冷水を使うと、よりサクサクに仕上がります。
- 揚げる際は、油の温度を一定に保ち、一度にたくさん入れすぎないようにしましょう。
- 鶏肉は、揚げる前に下味をつけても美味しくいただけます。
- かぼすやすだちなど、柑橘系の風味を加えると、さっぱりといただけます。
地元での食べ方
とり天は、定食屋さんや居酒屋、温泉施設の食事処など、県内の様々な場所で食べられます。ご飯のおかずとしてはもちろん、お酒の肴としても人気です。かぼすやすだちを絞り、ポン酢や辛子醤油につけて食べるのが一般的です。
おすすめの店
- 「中華料理レストラン東洋軒 」:とり天発祥の店として知られています。
- 「グリルみつば」:地元で愛される心温まるお店です。
- 「キッチン丸山」:昭和37年(1962年)創業の洋食店。地元の人も足繁く通う
老舗洋食店です。
このお店がとり天発祥の店という説もあります。
食レポ
とり天は、衣はサクサク、鶏肉はジューシーで、シンプルながらも奥深い味わいです。かぼすやすだちの爽やかな酸味と、ポン酢や辛子醤油の風味が、鶏肉の旨味を引き立てます。ご飯との相性も抜群で、ついつい箸が進みます。
2. だんご汁

※やせうま・・・練った小麦粉を平たくのばしてゆでたものに、きなこや砂糖をまぶして食す、
昔ながらのおやつ。
文化的・歴史的な背景
だんご汁は、大分県全域で親しまれている郷土料理で、小麦粉を練って作った平たい麺状の「だんご」と、豚肉や野菜を味噌仕立ての汁で煮込んだものです。そのルーツは、江戸時代にまで遡ると言われています。米の収穫が少なかった地域で、小麦粉を主食としていた人々の間で、手軽に作れる栄養満点の料理として広まりました。地域や家庭によって、だんごの形や具材、味付けが異なります。
レシピ
- 小麦粉に水を少しずつ加えながら練り、耳たぶくらいの柔らかさの生地を作ります。
- 生地を手のひらで薄く平らに伸ばし、食べやすい大きさにちぎります。
- 豚肉は一口大に切ります。
- 大根、人参、ごぼう、里芋、ネギなど、お好みの野菜を食べやすい大きさに切ります。
- 鍋にだし汁を入れ、豚肉と野菜を煮ます。
- 野菜が柔らかくなったら、ちぎっただんごを加え、煮込みます。
- 味噌、醤油などで味を調えます。
一般の人が作る場合のコツ
- だんごの生地は、よく練るほどコシが出ますが、練りすぎると硬くなるので注意しましょう。
- だんごは、煮込むと膨らむので、少し小さめにちぎるのがコツです。
- 味噌は、麦味噌を使うと、より風味豊かに仕上がります。
- 鶏肉やきのこなど、お好みの具材を加えても美味しくいただけます。
地元での食べ方
だんご汁は、家庭料理として日常的に食べられています。また、郷土料理店や食堂などでも提供されています。熱々のだんご汁は、寒い季節にはもちろん、一年を通して県民に親しまれています。
おすすめの店
食レポ
だんご汁は、もちもちとした食感のだんごと、豚肉や野菜の旨味が溶け込んだ、素朴で温かい味わいの汁物です。味噌の風味が食欲をそそり、体の芯から温まります。栄養満点で、まさに大分の家庭の味です。
3. りゅうきゅう

文化的・歴史的な背景
りゅうきゅうは、大分県の沿岸部、特に佐伯市を中心に伝わる郷土料理で、新鮮な魚の切り身を、醤油、みりん、酒、ごまなどで作ったタレに漬け込んだものです。その名前の由来は、琉球(沖縄)から伝わったとされる漬け魚の調理法に似ているから、とか、漁師が漁の合間に手軽に作って食べたのが始まり、など諸説あります。新鮮な魚介を美味しく食べるための、漁師の知恵が詰まった料理と言えるでしょう。
レシピ
- 新鮮な魚(アジ、サバ、タイ、ブリなど)を刺身用に切ります。
- 醤油、みりん、酒、白ごま、刻みネギ、おろし生姜を混ぜてタレを作ります。
- 魚の切り身をタレに漬け込み、冷蔵庫で30分ほど寝かせます。
- 温かいご飯の上に盛り付け、刻みネギや海苔などを添えていただきます。
一般の人が作る場合のコツ
- 魚は、新鮮なものを使うのが一番大切です。
- タレは、お好みの味に調整してください。生姜やニンニクを加えても美味しくいただけます。
- 漬け時間は、魚の種類や切り身の厚さによって調整してください。漬けすぎると塩辛くなるので注意しましょう。
- 食べる直前に、アツアツのご飯に盛り付けるのがおすすめです。
地元での食べ方
りゅうきゅうは、主に漁師町や沿岸部の家庭で日常的に食べられています。また、地元の居酒屋や食堂などでも提供されています。ご飯に乗せて丼として食べるのが一般的ですが、お酒の肴としても人気があります。
おすすめの店
- 「こつこつ庵」:新鮮な魚の切り身を特製のタレに浸し、ゴマ・ネギをまぶして
います。このお店では漬け込まず、新鮮な生の刺身で作ってあ
ります。 - 「ろばた仁」:新鮮な地魚を使った海の幸・山の幸とりゅうきゅうを味わえま
す。
食レポ
りゅうきゅうは、新鮮な魚のプリプリとした食感と、ごまの風味が香ばしい、シンプルながらも奥深い味わいの料理です。醤油ベースのタレが、魚の旨味を引き立て、ご飯との相性も抜群です。ついついご飯をおかわりしたくなる、漁師町のソウルフードです。