島根県には出雲大社や松江城といった有名な観光地がありますが、静かに過ごせる穴場的なスポットも多数存在します。その中から2か所を厳選してご紹介します。
1. 立久恵峡(たちくえきょう)(出雲市)

島根県の穴場観光スポット「立久恵峡」
① 概要
立久恵峡(たちくえきょう)は、島根県出雲市にある神戸川(かんどがわ)がつくり出した約2kmにわたるV字谷です。そそり立つ断崖や奇岩、清流が織りなす景観は、まるで水墨画のような美しさから「山陰の耶馬渓」とも称されます。遊歩道が整備されており、四季折々の自然を満喫しながら散策を楽しむことができます。派手さはないものの、静かで落ち着いた雰囲気の中で、自然の雄大さと神秘を感じられる穴場スポットです。
② 歴史的な成り立ち
立久恵峡は、約1200万年前の火山活動によって堆積した流紋岩が、長い年月をかけて神戸川の浸食作用によって削り出されたものです。垂直に切り立った断崖や、屏風のように連なる岩肌は、自然の力強さを物語っています。
古くから景勝地として知られており、江戸時代にはすでに多くの人々がその美しさを訪れていました。明治時代以降には、観光地としての整備が進められ、遊歩道などが設けられました。地元の人々にとっては、自然に親しむ憩いの場として、また、雨乞いの神様が宿る場所としても大切にされてきました。
③ 良い所
- 息をのむ絶景: 高さ数十メートルにも及ぶ断崖や、奇岩が連なる景観は圧巻です。特に、新緑や紅葉の時期は、自然の色彩が峡谷を彩り、一層美しい景色を楽しむことができます。
- 手軽な散策: 遊歩道が整備されており、比較的歩きやすいコースです。体力に合わせて気軽に自然散策を楽しめます。川のせせらぎを聞きながら、ゆっくりと景色を堪能できます。
- 静かで落ち着いた雰囲気: 大規模な観光地のような喧騒はなく、静かで落ち着いた雰囲気の中で自然を満喫できます。喧騒を離れて、ゆっくりと過ごしたい方におすすめです。
- 四季折々の自然: 春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の美しい自然を楽しむことができます。いつ訪れても異なる表情を見せてくれます。
- 写真撮影スポット: ダイナミックな峡谷の風景は、写真愛好家にとっても魅力的な被写体となります。様々なアングルから、印象的な写真を撮影できます。
④ 残念な所
- 公共交通機関でのアクセス: 電車やバスの本数が限られているため、公共交通機関でのアクセスはやや不便です。レンタカーや自家用車での訪問がおすすめです。
- 周辺施設の充実度: 観光地としての開発は控えめなため、大規模な土産物店や飲食店などは限られます。事前に情報収集をしておくか、準備をして訪れると良いでしょう。
- 天候に左右される: 雨天時や増水時は、遊歩道の一部が通行止めになる場合があります。また、足元が悪くなるため、注意が必要です。
- アップダウンのある場所も: 遊歩道は整備されていますが、一部には階段やアップダウンのある場所もあります。歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。
⑤ 見どころのスポット
- 屏風岩: まるで巨大な屏風のように連なる岩壁は、立久恵峡を代表する景観の一つです。その迫力ある姿は、訪れる人を圧倒します。
- 神の足跡: 川底にある巨大な窪みで、その昔、神様が足を滑らせてできたという伝説が残っています。自然の造形美と神秘的な言い伝えが魅力です。
- 紅葉谷: 秋になると、カエデなどが鮮やかに色づき、峡谷全体が美しい紅葉に包まれます。特に遊歩道から見下ろす紅葉の景色は格別です。
- 遊歩道からの眺め: 遊歩道沿いには、峡谷の美しい景色を見渡せるポイントがいくつかあります。ゆっくりと散策しながら、お気に入りの景色を見つけてみてください。
- 神戸川の清流: エメラルドグリーンに輝く清流は、見ているだけでも心が癒されます。夏には、水遊びを楽しむこともできます(遊泳禁止区域に注意)。
立久恵峡は、派手さはないものの、静かで奥ゆかしい自然の美しさを堪能できる、島根県の隠れた名勝です。喧騒を離れて、ゆっくりと自然と向き合いたい方におすすめのスポットです。
2. 琴ヶ浜(大田市)

島根県の穴場観光スポット「琴ヶ浜」
① 概要
琴ヶ浜(こと-が-はま)は、島根県大田市仁摩町にある砂浜海岸です。その最大の特徴は、歩くと「キュッキュッ」と音が鳴る「鳴り砂(なきすな)」であること。全国的にも珍しいこの現象は、特定の条件が揃った砂浜でのみ起こり、その音色が琴の音色に似ていることから「琴ヶ浜」と名付けられました。美しい夕日や日本海の雄大な景色も魅力で、近年はSNS映えするスポットとしても注目を集めています。
② 歴史的な成り立ち
琴ヶ浜の鳴り砂がいつから知られていたかは定かではありませんが、古くから地元の人々にはその不思議な現象が知られていました。かつては、この鳴り砂が汚れると音が鳴らなくなると言われ、地域住民によって大切に守られてきました。
本格的に観光地として注目されるようになったのは、1980年代以降のことです。鳴り砂の珍しさや、夕日の美しさなどがメディアで紹介されるようになり、徐々にその名が広まっていきました。1997年には、日本の音風景100選にも選ばれ、その音の美しさが全国的に認められました。
近年では、環境保護への意識の高まりとともに、琴ヶ浜の鳴り砂を守るための活動も活発に行われています。清掃活動や啓発活動などを通じて、この貴重な自然を守り、後世に伝えていく努力が続けられています。
③ 良い所
- 神秘的な「鳴り砂」体験: 何と言っても、歩くたびに足元から聞こえる「キュッキュッ」という音は、他では味わえない特別な体験です。この音色は、砂に含まれる石英という成分が摩擦することで生まれると言われています。
- 息をのむほどの夕日: 日本海に沈む夕日は、空と海を茜色に染め上げ、言葉を失うほどの美しさです。特に夕暮れ時には多くの人が訪れ、その絶景に見入っています。
- 静かで落ち着いた雰囲気: 比較的観光客が集中する時期を除けば、静かで落ち着いた雰囲気の中で自然を満喫できます。波の音を聞きながら、ゆったりとした時間を過ごしたい方におすすめです。
- 周辺観光スポットへのアクセス: 世界遺産である石見銀山や、仁摩サンドミュージアムなど、周辺の観光スポットへのアクセスも比較的良好です。
- 自然の美しさ: 透明度の高い海水や、変化に富んだ海岸線の景色など、自然の美しさを堪能できます。夏には海水浴を楽しむこともできます。
④ 残念な所
- 鳴り砂の条件: 鳴り砂は、砂が乾燥していること、適度な粒の大きさであること、汚れが少ないことなど、いくつかの条件が揃わないと音が鳴りにくい場合があります。雨上がりや湿気の多い日は音が鳴らないこともあります。
- アクセス: 公共交通機関でのアクセスはやや不便な場合があります。自家用車での訪問が便利ですが、駐車場が混雑することもあります。
- 周辺施設の充実度: 観光地としては比較的静かな場所であるため、お土産店や飲食店などの施設は限られています。事前に情報収集をしておくことをおすすめします。
- 季節による景色の変化: 冬の日本海は荒れる日も多く、夏のような穏やかな景色とは異なります。季節によって異なる表情を見せる一方で、天候によっては散策に適さない場合もあります。
⑤ 見どころのスポット
- 砂浜全体: まずは砂浜をゆっくりと歩き、足元から聞こえる不思議な音色を体験してください。
- 夕日観賞スポット: 海岸線のどこからでも美しい夕日を眺めることができますが、特に砂浜の中央付近や、少し高台になった場所からの眺めは格別です。
- 琴ヶ浜海水浴場(夏季限定): 夏には海水浴場として賑わいます。透明度の高い海で泳ぐのは気持ちが良いものです。
- 周辺の遊歩道: 海岸線に沿って遊歩道が整備されており、散策を楽しむことができます。潮風を感じながら、ゆっくりと景色を堪能できます。
- 石見畳ヶ浦(車で約15分): 海底が隆起してできた珍しい地形を見ることができます。遊歩道が整備されており、地層や奇岩などを観察できます。琴ヶ浜と合わせて訪れるのもおすすめです。
琴ヶ浜は、その神秘的な鳴り砂と美しい自然が魅力の、隠れた名所と言えるでしょう。喧騒を離れて、静かに自然の恵みを感じたい方におすすめのスポットです。
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