鳥取県は、日本海に面し、豊かな自然と歴史を持つ地域です。その風土が生み出した、個性豊かな郷土料理を3つご紹介します。それぞれの料理について、文化的・歴史的な背景、レシピ、一般の人が作る場合のコツ、地元での食べ方、おすすめの店、そして食レポ的な説明をまとめました。
1. かにめし

文化的・歴史的な背景
かにめしは、鳥取県を代表する駅弁であり、郷土料理の一つとしても広く知られています。特に、山陰本線の鳥取駅や倉吉駅などで販売されているものが有名です。その歴史は古く、明治時代に駅弁として登場したのが始まりと言われています。日本海の豊かな恵みであるズワイガニやベニズワイガニをふんだんに使い、カニの旨味を凝縮した贅沢なご飯料理です。
レシピ(家庭で作る簡易版)
- 米 2合
- カニ缶(ほぐし身) 1缶(約100g)
- だし汁 360ml
- 醤油 大さじ2
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 塩 少々
- 刻みネギ、刻み海苔(お好みで)
作り方
- 米は研いで、通常の水加減よりやや少なめの水で炊飯器にセットします。
- だし汁、醤油、みりん、酒、塩を混ぜ合わせます。
- 炊飯器に2の調味液とカニ缶の身(汁も少し加えると風味が良い)を加えます。
- 通常通り炊飯します。
- 炊き上がったら軽く混ぜ、器に盛り付け、お好みで刻みネギや刻み海苔を散らします。
一般の人が作る場合のコツ
- カニ缶を使うと手軽に作れますが、生の茹でガニの身を使うと、より本格的な味わいになります。その場合は、炊き込みではなく、炊き上がったご飯に混ぜ込むと、カニの風味がより生きます。
- だし汁は、昆布だしやかつおだしなど、お好みのものを使用してください。
- 醤油やみりんの量は、お好みで調整してください。
- 炊き込みご飯にする場合、カニの風味が飛びすぎないように、炊飯器に入れるのは炊き始め直前にしましょう。
地元での食べ方
地元では、駅弁として購入し、列車の中で食べるのはもちろん、家庭でもよく作られます。特に、カニの旬である冬には、生のズワイガニを使った贅沢なかにめしが楽しまれます。料亭や旅館などでも、地元のカニを使ったかにめしが提供されることがあります。
おすすめの店
- 「アベ鳥取堂」:鳥取駅の名物駅弁「かにめし」を販売している老舗。長年愛される伝統の味です。
- 「山芳亭」:倉吉駅で販売されている「かにめし」も人気があります。
- 鳥取市内の料理店や旅館:冬の時期には、新鮮なカニを使ったかにめしを提供する店が多くあります。
食レポ
かにめしは、一口食べると口の中に広がるカニの豊かな風味がたまらない、まさに海の幸を凝縮したご飯料理です。カニの身の甘みと、出汁の染み込んだご飯の優しい味わいが絶妙に調和しています。駅弁として手軽に楽しめるのはもちろん、家庭で作っても、ちょっとした贅沢感を味わえる一品です。特に、生のベニズワイガニを使ったものは、上品な甘さと繊細な身の食感が楽しめます。
2. 鳥取カレー

文化的・歴史的な背景
鳥取県は、実は隠れたカレー激戦区として知られています。県民一人当たりのカレールー消費量が全国トップクラスであり、家庭料理としても、外食としても、カレーが非常に愛されています。特定の起源があるわけではありませんが、古くから親しまれてきた喫茶店や食堂が、独自のレシピで美味しいカレーを提供してきたことが、このカレー文化を育んだと言われています。牛肉や豚肉を使ったものから、地元産の野菜をたっぷり使ったもの、シーフードカレーまで、バラエティ豊かなカレーが存在します。
レシピ(家庭で作る定番チキンカレー)
- 鶏もも肉 300g
- 玉ねぎ 中2個
- 人参 中1本
- じゃがいも 中2個
- カレールー 1箱(4〜5人分)
- サラダ油 大さじ2
- 水 600ml
- 福神漬け、らっきょう(お好みで)
作り方
- 鶏もも肉は一口大に切ります。
- 玉ねぎは薄切り、人参とじゃがいもは一口大に切ります。
- 鍋にサラダ油を熱し、鶏肉を炒めます。色が変わったら玉ねぎを加えて炒めます。
- 玉ねぎがしんなりしたら、人参とじゃがいもを加えて炒め合わせます。
- 水を加え、沸騰したらアクを取り、野菜が柔らかくなるまで煮込みます。
- 一旦火を止め、カレールーを割り入れて溶かします。
- 再び弱火で煮込み、とろみがついたら完成です。
- ご飯に盛り付け、お好みで福神漬けやラッキョウを添えます。
一般の人が作る場合のコツ
- 玉ねぎをじっくり炒めることで、甘みとコクが増し、美味しいカレーのベースになります。
- 鶏肉は、炒める前に塩胡椒で下味をつけておくと、風味が良くなります。
- 水の量は、カレールーの箱の指示に従ってください。
- 隠し味に、ウスターソースやケチャップ、ヨーグルトなどを少量加えると、味に深みが出ます。
- 地元産の野菜をたっぷり使うと、鳥取ならではのカレーになります。
地元での食べ方
鳥取県民は、家庭で定番のカレーを作るのはもちろん、喫茶店や食堂で個性豊かなカレーを食べるのも大好きです。特に、昔ながらの喫茶店のカレーは、どこか懐かしい味わいで、地元の人々に愛されています。学校給食にもカレーがよく登場するなど、カレーは鳥取県民の生活に深く根付いています。
おすすめの店
- 「香味徳 本店」:牛骨スープを使った独特の「牛骨ラーメン」が有名ですが、カレーも隠れた人気メニューです。
- 県内の昔ながらの喫茶店や食堂:それぞれが独自のレシピで提供する、懐かしい味わいのカレーが楽しめます。
- 「大江ノ郷自然牧場 ココガーデン」:地元産の食材をふんだんに使った、こだわりのカレーが味わえます。
食レポ
鳥取カレーは、一言で表すと「愛される日常の味」です。家庭で作る定番のカレーはもちろん、喫茶店や食堂で味わうカレーは、それぞれに個性があり、どこか懐かしいホッとする味わいです。地元産の新鮮な野菜をたっぷり使ったカレーは、素材本来の甘みや旨みが感じられ、体にも優しいです。スパイスの香りと野菜の甘みが絶妙に調和し、ついついご飯が進みます。
3. 鳥取砂丘らっきょうを使った料理

文化的・歴史的な背景
鳥取砂丘は、日本を代表する砂丘であり、その独特の砂地で栽培されるらっきょうは、「砂丘らっきょう」として全国的に有名です。砂地は水はけが良く、昼夜の寒暖差が大きいため、肉厚でシャキシャキとした食感の、高品質ならっきょうが育ちます。江戸時代末期から栽培が始まったと言われており、現在では鳥取県を代表する特産品の一つとなっています。
レシピ(らっきょうの甘酢漬け – 基本)
- 生らっきょう 1kg
- 漬け液:
- 酢 500ml
- 砂糖 200g
- 塩 50g
- 水 200ml
- 鷹の爪 2〜3本(お好みで)
作り方
- らっきょうは土を洗い落とし、根と茎を切り落とします。薄皮をむき、きれいに洗います。
- 熱湯でさっと茹でるか、塩水に一晩漬けてアク抜きをします(省略しても可)。
- 漬け液の材料を鍋に入れ、沸騰させて砂糖と塩を完全に溶かし、冷まします。
- 清潔な保存容器にらっきょうを入れ、冷ました漬け液を注ぎます。
- 冷蔵庫で1週間以上漬け込めば完成です。
一般の人が作る場合のコツ
- 生らっきょうは、丁寧に洗い、薄皮をむくのがポイントです。
- アク抜きは、風味をまろやかにするために行いますが、時間がない場合は省略しても構いません。
- 漬け液の甘さや酸っぱさは、お好みで砂糖や酢の量を調整してください。
- 鷹の爪を加えると、ピリッとした辛さがアクセントになります。
- 保存容器は、煮沸消毒するなどして、清潔なものを使用してください。
地元での食べ方
鳥取砂丘らっきょうは、甘酢漬けとしてそのまま食べるのが一般的ですが、カレーの付け合わせや、サラダのアクセント、炒め物の具材など、様々な料理に使われます。地元では、らっきょうを使ったドレッシングやタルタルソース、ピクルスなども販売されています。
おすすめの店
- 鳥取砂丘周辺のお土産店や直売所:新鮮な生らっきょうや、様々な種類のらっきょう漬けが購入できます。
- 鳥取市内のレストランや道の駅:らっきょうを使った創作料理や、らっきょう入りのカレーなどを提供している店があります。
- JA鳥取いなばの直売所:高品質な砂丘らっきょうや、加工品が手に入ります。
食レポ
鳥取砂丘らっきょうの甘酢漬けは、シャキシャキとした独特の食感が特徴です。噛むほどに、らっきょう本来の風味と、甘酸っぱい漬け液の味が口の中に広がります。カレーの付け合わせとしてはもちろん、箸休めとしても最適です。また、らっきょうを使った料理は、その食感と風味がアクセントになり、料理全体の味を引き立てます。特に、地元産の新鮮ならっきょうを使ったものは、風味豊かで、一度食べたら忘れられない味わいです。